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超短編小説

[ブログ小説] コーヒーを片手に

 コーヒーを片手に思うこと。それは不平等な時間の流れ。 「でも、まあ、よかったじゃないか」と彼は言った。「これで、君も少しはまともになったわけだ。やっと、普通の生活ってものができるんだからね」 「そうですねえ……」と私は呟いた。「でも、なんだか実感が湧かないんですよ。本当に僕は普通になったんでしょうか?」 「さあ、どうだろうな。自分で確かめるしかないんじゃないか? 僕には何とも言えないよ。ただ、一 […]

[ブログ小説] 嫌いな夏とアイスコーヒー

暑い夏の日差しとのギャップのせいで、店内は薄暗く、その効きすぎた冷房がやけに心地よかった。 どちらかというと暑がりの私は夏が嫌いだ。 カランコロン 重いドアを押して店内に入る。 タバコの煙とコーヒーの香りが混ざった何とも良い香りが、日常と非日常のちょうどいいバランスに感じていた。 席についてその店のマッチででタバコに火を付ける。 マッチで火を着けるといつもよりタバコが旨いよな。 仲間の誰かが言って […]

[ブログ小説]  予備校生の憂鬱

強い日差しのわりに肌寒い。 本来は一番好きな季節だ。 お気に入りのアウターの出番はそろそろだろうか。 日に日に空気が澄んできている気がする。 そういえば最近暗くなるのが早くなったな。 そんな空気感がたまらなく好きだ。 人には2種類にタイプがあって、太陽の光で落ち着く人と、月の光で落ち着く人に分かれるらしい。 自分は間違いなく後者だと思う。 いつものように自転車で通りすぎる公園の葉っぱの色が変わりは […]

[ブログ小説]  傷ついた心にカフェラテを

私が一人でカフェに行くようになったのは、ある出来事がきっかけだった。 学生の時友達とお茶するためにカフェに行くことはあったが、一人で行くことはほとんどなかった。 コーヒーならコンビニでも買えるし、本を読むのは家でもできる。 わざわざカフェでコーヒーを飲む必要はない。 そう思っていた。 その考えが変わったのは、新卒入社した会社を早期離職した後だった。 私は新卒で入社した会社を半年で逃げるように辞めた […]

[喫茶店が舞台の超短編小説] コナコーヒーとウクレレ

私には思い出のカフェとコーヒーがあります。 日本の最南、鹿児島県のとある海沿いのお店。 サーファーが立ち寄るので店内は南国風の作り。ビーチの砂がお客さんと一緒に入って少し白混じりの床に、ゆったりとしたJAZZと街中のカフェでは流れないような海とよくマッチしたウクレレの音楽。 ここで毎週、仕事の休みの日にサーフィンをした後、海を見ながら珈琲を飲んで日頃のストレスから解放されるのが楽しみでした。 そこ […]

[ブログ小説] さよならあなたとブラックコーヒー

とある女性とコーヒーの物語 その1 25歳の秋、2年半付き合った彼とお別れをしました。 彼と私は知人の紹介で知り合い、初めてのデートは彼が行きつけのカフェへ。 私は甘いカフェオレ、彼はブラックコーヒーを頼んで時間が忘れるまでいろんな話をしました。 私たちは頻繁にこのカフェでデートをし、お互いのことを知って行きました。 「ここのブラックコーヒーが世界で一番好き、いつか君にも飲んでほしい」それが彼の口 […]

[ブログ小説] 赤い缶コーヒーとバンドマン 

とあるバンドマンの話。 「いらっしゃいませ。」 平日8時30分頃、君はいつもお店に来る・・・ 毎回買っていくものは、決まって同じ赤い缶コーヒー。 僕は、25歳。バンドマンをしている夢追い人。 夜にはスタジオ練習やライブがあるから、昼間にコンビニでバイトしている。 早くバンドが売れて、バイト生活から抜け出したいが、今のところまだまだバイト生活が続きそうだ。 「バンドマン」という肩書でチャラそうに見ら […]