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短編小説

[ブログ小説]天使と悪魔

いつもならベランダでコーヒーを片手に遠くのビルを眺めているこの時間。 その日は朝から雨が降っていた。 いつものように新聞を読みながらトーストを食べていると、携帯が鳴る。 「はい」 『あ、もしもし』 電話の向こうの声には聞き覚えがあった。 「……ああ、どうも」 『昨日のことなんだけどさー』 「なんですか?」 『ほら、あの後大丈夫だった?』 「えっと……」 『あたしさぁ、ちょっと酔ってたみたいであんま […]

[ブログ小説] コーヒーを片手に

 コーヒーを片手に思うこと。それは不平等な時間の流れ。 「でも、まあ、よかったじゃないか」と彼は言った。「これで、君も少しはまともになったわけだ。やっと、普通の生活ってものができるんだからね」 「そうですねえ……」と私は呟いた。「でも、なんだか実感が湧かないんですよ。本当に僕は普通になったんでしょうか?」 「さあ、どうだろうな。自分で確かめるしかないんじゃないか? 僕には何とも言えないよ。ただ、一 […]

[ブログ小説] 嫌いな夏とアイスコーヒー

暑い夏の日差しとのギャップのせいで、店内は薄暗く、その効きすぎた冷房がやけに心地よかった。 どちらかというと暑がりの私は夏が嫌いだ。 カランコロン 重いドアを押して店内に入る。 タバコの煙とコーヒーの香りが混ざった何とも良い香りが、日常と非日常のちょうどいいバランスに感じていた。 席についてその店のマッチででタバコに火を付ける。 マッチで火を着けるといつもよりタバコが旨いよな。 仲間の誰かが言って […]

[ブログ小説] 微糖とタバコと煙 

学生時代何をするにも一緒だった親友がいた。 当時私たちはタバコを吸っていてそれとセットで同じ缶コーヒーを決まり事かのように飲んでいた。

[ブログ小説] Coffee占い Cのお告げ

「今日はカルデラ湖か、まいったなぁ」 冴子はつぶやいた。一人暮らしを始めて一年、コンビニの百円コーヒーもバカにならないと、家でコーヒーを淹れる日々。しかしこれが、なかなか上手くいかない。ポジティブ思考でいこう、と自己流のコーヒー占いを思いついた。飲み干したカップの底の模様で占う、トルコのコーヒー占いのように神秘的でも想像的でもないが、クオリティの定まらないモーニングコーヒーには、一日を予想するヒン […]

[ブログ小説] 赤い缶コーヒーとバンドマン 

とあるバンドマンの話。 「いらっしゃいませ。」 平日8時30分頃、君はいつもお店に来る・・・ 毎回買っていくものは、決まって同じ赤い缶コーヒー。 僕は、25歳。バンドマンをしている夢追い人。 夜にはスタジオ練習やライブがあるから、昼間にコンビニでバイトしている。 早くバンドが売れて、バイト生活から抜け出したいが、今のところまだまだバイト生活が続きそうだ。 「バンドマン」という肩書でチャラそうに見ら […]