仲のいい友達みんなでキャンプに行った。
とはいえキャンプが初めてという子ばかりだったので、キャンプ場で、バーベキューの材料も全部用意してくれるプラン。
なんとも至れり尽くせりでも、自然の中の寝泊まりは楽しかった。
騒いだ翌日の朝、一人の子がコーヒーを入れていた。
そんなものセットにはなかったはず。
「キャンプにコーヒーなんて持ってきたの!?」と呆れたが、彼女は当たり前の顔をして「コーヒーはいるでしょ?」と言う。
これはとんでもないコーヒー好きではなかろうか。
しかしながら、みんな最初は笑っていたが、独特のそそる香りに逆らえず、私にもちょうだい、ちょうだい、とみんなのくたびれた紙コップにコーヒーが注がれた。
のんびりした自然の中で迎えた朝に、似合わないようで最高に似合う香り。
まだ始まらない朝の景色を見ながら、ふーっとゆっくり呼吸をして、みんなでコーヒーを楽しんだ。
今でもはっきりとあのコーヒーの香りが思い出される、素敵な朝だった。
それからというもの、アウトドアで飲むコーヒーの魅力に取り憑かれた。
キャンプだけではなく、庭のちょっとしたスペース、オープンテラスのカフェ、公園。
今まであまり気の止めていなかったが、外で味わうコーヒーというものに幸せを感じるようになった。
ましてこのような時代に日常の中で一つ楽しみが増えたことは本当によかったと思っている。